アートギャッベの選定人・波多野さんに聞く「イランってどんな国?」

「宝石の原石を掘り起こすように選んだギャッベ」

「松葉屋のギャッベって、ほかのとぜんぜん違う」。

そんな言葉をいただきます。その理由のひとつには、

『僕たちのギャッベの選び方』にあると自負しています。

松葉屋らしい絵画のような風景を感じさせる一枚。
絵本のような物語を感じさせる一枚。
僕たちは、イラン・ゾランヴァリ社の倉庫に眠る
2万枚以上の中から選ばれたギャッベを
「宝石の原石を掘り起こすように」 選びぬき、
名前をつけて紹介してきました。

そんな『僕たちのギャッベ選び』を下支えしてくれているのが、
選定人・波多野さんです。

なかなかイランへ行けない僕たちに代わって、ギャッベ選びをしてくれて、

「これは、松葉屋のあの方がとっても気に入りそうだなあ」なんて、

松葉屋のことを 理解してくれている波多野さんは、僕たちが信頼する選定人です。
ここでは、そんな波多野さんに、イランの現状についてお聞きしたインタビューをご紹介していきます。


 

これまでに波多野さんにお聞きしてきたイランのゾランヴァリ・アートギャッベのこと(高い芸術性と伝統を守るゾランヴァリ社の貢献、草木染めや新しい自然染料の発見、2万枚の中からギャッベを選ぶことで受けた感性と知性)など、これまでのインタビューもぜひご覧になってみてくださいね。

「ゾランヴァリ・ギャッベの買付け日記」イランから松葉屋に届くまで #01

「ゾランヴァリ・ギャッベの買付け日記」イランから松葉屋に届くまで #02

「ゾランヴァリ・ギャッベの買付け日記」イランから松葉屋に届くまで #03

 


アートギャッベの選定人 波多野さんに聞く 「イランってどんな国?」



善五郎:これまでのインタビューの中では、世界に見るゾランヴァリ・アートギャッベのことは、中国には伝統的な絨毯があり、韓国にはラグを敷く文化があまりなく、床生活の文化がある日本からの人気が一番高いと聞いてきました。他国より、日本への輸出が多いとのことでしたね。
ところで、イランが受けている経済制裁の影響が気になっています。イランの現状は、今どんな状況なのでしょうか?

波多野:経済制裁に伴い、輸出だけでなく輸入にも制限が課され、国内に安価な羊毛が渡ってこないため、服飾関連の会社も、やむなく高価なザクロスウールを求めるようになってきているようです。遊牧民が育てた羊の毛も 、すべてがゾランヴァリ社のもとに届くわけではないですし、現状は足りていないので、羊毛の価格高騰に頭を悩ませています。この状況が続くと、現地価格が上がることも、あり得るかも知 れません。

善五郎:イランの現状が心配ですね。そのほか、生活インフラなどは、どうですか?

波多野:今はみんな携帯電話で連絡を取り合えて、驚くことに、ザクロス大地にいても電波が入ります。飲料水は、ペットボトル飲料と、今 でもカナート(地下用水路)から汲んだ水です。 温暖化の影響かわかりませんが、井戸は枯れて、川も干上がったところも多いです。電気は、発電機が設置されたテントから、分け合っているようです。

 

善五郎:携帯電話の普及もあれば、インターネット回線やパソコンの普及も進んでいますか?

波多野:インターネットは、アメリカ資本のYouTubeやFacebook、twitter などは閲覧できないように情報統制されています。 instagram や Whats App は使えて、人気もあります。 スマホは普及していますが、パソコンは高級品なので、ほとんどの人がもっていません。車の所有率はかなり高く、欧州車などを修理して利用していました。

善五郎:イランの暮らしぶりに、どんなことを感じましたか?

波多野:インドとちがって、カーストはありませんが、子どもたちが、路上で果物を売ったり、車に乗っていると窓をノックしてきて、「窓を拭かせろ(お金を払え)」と要求してきたり、信号待ちをしていると、クルミやザクロを売ろうとしてきたり、日本では見られない光景がたくさんあり、まだまだ発展途上にあることを感じさせられました。遊牧民に関しては、やはり、文化や歴史、アイデンティティを大切にしていると感じました。 見方によっては、過酷で不便も多く、大変に思えるかもしれませんが、先述の通り、多くの人たちが自ら望んで遊牧民生活をしている現状があり、楽しみながら幸せを感じている姿は、 日本人がなくしてしまった大切なものをもっているような気がしてなりませんでしたね。


大地と空、火と草色のじゅうたん

『ゾランヴァリ・アートギャッベ展』

2019年9月14日(土)~29日(日) 10:00~19:00

*会期中、9/19(木)と9/25(水)はおやすみをいただきます
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