「ゾランヴァリ・ギャッベの買付け日記」イランから松葉屋に届くまで #01

「宝石の原石を掘り起こすように選んだギャッベ」

「松葉屋のギャッベって、ほかのとぜんぜん違う」。

そんな言葉をいただきます。その理由のひとつには、

『僕たちのギャッベの選び方』にあると自負しています。

松葉屋らしい絵画のような風景を感じさせる一枚。
絵本のような物語を感じさせる一枚。
僕たちは、イラン・ゾランヴァリ社の倉庫に眠る
2万枚以上の中から選ばれたギャッベを
「宝石の原石を掘り起こすように」 選びぬき、
名前をつけて紹介してきました。

そんな『僕たちのギャッベ選び』を下支えしてくれているのが、
選定人・波多野さんです。

なかなかイランへ行けない僕たちに代わって、ギャッベ選びをしてくれて、

「これは、松葉屋のあの方がとっても気に入りそうだなあ」なんて、

松葉屋のことを理解してくれている波多野さんは、僕たちが信頼する選定人です。
ここでは、そんな波多野さんに、イランでギャッベを選ぶときのことなどをお訊きしたインタビューをご紹介していきます。

 


 


ギャッベは感性を育ててくれるもの
「子や孫の代まで使える品質かどうか」
これがギャッベを選定する基準


 

善五郎:前回の『ギャッベ 108の暮らし』は「カイガラムシ(コチニール)」で染める鮮やかなギャッベ や青や緑の美しい原毛のギャッベなど、豊富な出会いがありましたが、今回の選定はいかがでしたか?

波多野:昔ながらのギャッベがもつ「素朴さ・優しさ」を感じさせるものが多くありましたね。中でも、十分な毛足の長さをもち、豊かな手ざわりのギャッベ がたくさんありました。色合いは、染料の進化が更新され、草木の種類や彩りのバリエーションが、ますます多様になっています。インドの蓼(タデ) やナスの皮、 高価ですが、ホソバタイセイ* や鉱物インディゴなど も併用されるようになっていますね。

* ホソバタイセイ:アブラナ科タイセイ属の二年草。インディゴ染料の原料として南ヨーロッパなどで栽培されている


善五郎:毎回2万枚のギャッベから選定していく。 これは、そう簡単なことではないですよね。

波多野:そうですね(笑)。だけど、前回のインタビューでもお答えしたように、日本へ届けて、いろんなご家族の心地よい暮らしのひとつになることが、僕も嬉しいんです。最近は、あるお客様のからの言葉を受けて、さらにギャッベ選びに思いを強めるようになりました。

私自身も、ギャッベを使うようになってから、家具はもちろん、 洋服や日用品でも、「本当にいいものかどうか」、「永く使えるかどうか」、「最終的に無駄にならないかどうか」を、きちんと意識するようになりました。イランの話を聞いてから、自分も子どもも、模様や絵やアート、色彩やデザインが好きになり、海外の文化や歴史にも興味を抱くようになりました。色々な話を聞きながらギャッベを選んだからこそだと思います」と。

大げさかもしれませんが、ギャッベがあることで、 暮らしへのまなざしが変わった人は、少なくないと思うんです。やはり、すべてのギャッベがすばらしいものであり、「 感性を育ててくれるもの」とし て 、魅力を感じます。その上できちんとクリアにしたいのが 「 子や孫の代まで使える品質かどうか」。 これが今でも、僕のギャッベを選定する基準ですね。


善五郎:とってもうれしい話だなあ。イランの人たちも、日本へギャッベを届けることを喜んでくれているのでしょうか?

波多野:遊牧民の織り子さんたちは、日本人が大切にギャッベを使ってくれていることを、よく知っています。自分たちと同じように、床に座る文化があることも理解していますから 。それからドラマ「 おしん」や、アニメ「キャプテン翼」は国民放映されていて、日本をエンタメ大国としても認めているようですよ。日本は優しくて、素朴なギャッベが好きであることをイメージして、織ってくれている人もいるかもしれませんね。

善五郎:世界を俯瞰してみても、日本に対するギャッベの輸出は、比較的多いですか?

波多野:今や日本が一番のギャッベユーザーであることを認識してくれていますね 。経済制裁でアメリカに輸出できないので、とくに日本への依存度が高いのも現実です。ヨーロッパ ( とくにドイツ) へ の輸出はここ数年で変化はあまりないようです。

つづく

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