「ゾランヴァリ・ギャッベの買付け日記」イランから松葉屋に届くまで #02

「宝石の原石を掘り起こすように選んだギャッベ」

「松葉屋のギャッベって、ほかのとぜんぜん違う」。

そんな言葉をいただきます。その理由のひとつには、

『僕たちのギャッベの選び方』にあると自負しています。

松葉屋らしい絵画のような風景を感じさせる一枚。
絵本のような物語を感じさせる一枚。
僕たちは、イラン・ゾランヴァリ社の倉庫に眠る
2万枚以上の中から選ばれたギャッベを
「宝石の原石を掘り起こすように」 選びぬき、
名前をつけて紹介してきました。

そんな『僕たちのギャッベ選び』を下支えしてくれているのが、
選定人・波多野さんです。

なかなかイランへ行けない僕たちに代わって、ギャッベ選びをしてくれて、

「これは、松葉屋のあの方がとっても気に入りそうだなあ」なんて、

松葉屋のことを 理解してくれている波多野さんは、僕たちが信頼する選定人です。
ここでは、そんな波多野さんに、イランでギャッベを選ぶときのことなどをお訊きしたインタビューをご紹介していきます。


前回の「ゾランヴァリ・ギャッベの買付け日記」イランから松葉屋に届くまで#01もご覧ください。



誰かが買い叩かれたり、
強制労働されたりせずに、
豊かな感性が込められたアート


 

善五郎:2019SSの「ギャッベ108の暮らし」では、
ギャッベ選定の流れ(2万枚を見ることから、補修し、計算し、輸送するまで)を紹介していただき、

「織り子さんをはじめ、ギャッベに関わる人の苦労、美しいギャッベに驚く人の笑顔と感動まで、いろんな情景が、瞬間的に脳裏をよぎり、なんとも言えない高揚感が湧き上がることもありますね」と

お話されていましたが、今回の選定で、改めて感じたことは、何かありましたか?

波多野:先ほどの話とも重なりますが、ギャッベのように、「暮らしのまなざしを変えてくれる暮らしの道具 って 、そうないと思っています。 その上で、今どきの言葉でいえば、「エシカル*」であることも、 私自身さらに意識するようになっています。誰かが買い叩かれたり、強制労働されたりしておらず、今も遊牧民たちの豊かな感性が込められたアートであることは、ゾランヴァリ・ギャッベの何よりの魅力ですから。

* エシカル:法律などの縛りがなくても、みんなが正しい、公平だと思っていること

善五郎:そうですね。やはり、織り子さんたちの生活を豊かにする上で、ゾランヴァリ社が貢献している部分は大きいですか?

イランの美しい瞳をした子どもたち(写真:波多野さん)

 

波多野:大きいですね。ゾランヴァリ社のおもしろいところですが 、 どう考えても、工場を用意して、 毎日出勤させて織ってもらえば、一番効率がいいはずなのに、それを頑なに、やろうとしない。

善五郎:それはなぜですか?

波多野:これには2つ理由があります。

1つには、「昔ながらのカシュガイの伝統を失わないように」ということ。

もう1つには、「定住する人も増えてきた中でも、遊牧民古来のギャッベに対する誇りが高く、『家で家族と共につくるものである』という意識が根底に残っているから」です。つまり、今でも、家庭で親から子へ受け継がれる「秘伝の技術」としての伝統が守られているのです。

善五郎:伝統も守りながら、暮らしも支える。そんな思いを感じますか? 

波多野:それはとても感じますね。ゾランヴァリ社の支援の一環として、遊牧民のお父さんとお母さん が、専属のドライバーとして、近所の織り子さんたちが仕上げたギャッベをシラーズの工場に運んだり、 羊飼いを担ったりと、ギャッベを通して仕事が増えているようです。また、互助会のような仕組みがあり、民族ごとの長がいて、みんなで助け合う暮らしが整えられているようです 。
「 過ぎたるは還元せよ」 というイスラムの教えも、影響しているのでしょうね。

(それと、これは余談ですが、今でも一定数の遊牧 民が暮らすザクロスの大地は、大半が国有地であり、遊牧民のためにイランが開放したようです。5 〜 10 年前までは、戸籍が判明しない遊牧民が多く、 国が遊牧をやめてくれと言って、多くの人が定住するようになりました。その結果、ほぼすべての人たちの戸籍がはっきりしてきて、先述のように、今では多くの人たちが遊牧民生活に復帰・継続を果たしているようです)

善五郎:前回のインタビューでもお話されていたように、「関わる人すべてに無理がないギャッベ」は、波多野さんにとっても、誇りをもって勧められる理由なんですね。

つづく

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