
まん丸で、脚がたためる座卓。
それを、卓袱台(ちゃぶ台)と言います。
読み方は「ちゃぶだい」。
ちゃぶ台とは、四本脚の食事用の座卓で、漢字で卓袱台と書きます。
円いものも、四角いものもある。使わないときは脚をたたんで、部屋の隅に立てておける。
善光寺の表参道で家具店をしている、松葉屋家具店の九代目、滝澤善五郎です。
松葉屋では、このちゃぶ台を、北信州の木で作っています。
卓袱台(ちゃぶ台)とは
卓袱台とは、床に座って、ご飯を食べるための、脚の低い台のこと。
四本の脚を折りたためるものが多く、食べ終わったら片づけて、同じ部屋で寝たり、くつろいだりできる。
ちゃぶ台が広まる前は、一人にひとつずつの箱膳で食べていた。
それが一つの台になって、家族がみんなで、同じ台を囲むようになった(小野市立好古館「ちゃぶ台」)。
座卓とは、床に座って使う机のこと。
そのうち、脚をたためて、食事に使うものを、ちゃぶ台と呼ぶことが多いようです。
「卓袱台」の読み方は?
「ちゃぶだい」と読みます。
字のとおりに読むと「たくふくだい」になりそうですが、そうは読みません。
同じ「卓袱台」を「しっぽくだい」と読むと、中国風の食卓のことになります(コトバンク「卓袱台」)。
松葉屋の外の看板に「卓袱台」と書いておいたら、「卓球台?」「何て書いてあるの?」と、よく聞かれました。
読めないのが、ふつうなんだと思う。
なぜ「ちゃぶ」なのか 漢字の由来
じつは、はっきりとは分かっていません。
有力なのは、中国語でテーブル掛けを意味する「卓袱」を、南の地方では「チャフ」と読む、そこから来たという説(Wikipedia「ちゃぶ台」)。
ご飯を食べることを言う「吃飯(チャフン)」から、という説もあります。
「卓袱」は、日本では「しっぽく」とも読む。
長崎の卓袱料理は、大皿の料理をみんなで囲んで食べるもの。
江戸時代、外国との行き来が許されていた長崎で、中国の料理を日本風にして広まったと言われています。
明治3年(1870年)に仮名垣魯文が書いた『萬國航海西洋道中膝栗毛』には、もう「チャブダイ」という言葉が出てくる。
西洋料理店の食卓を指す、くだけた言い方でした。
漢字は、卓袱台のほかに、茶袱台、茶部台とも書かれた。
どれも、音に字を当てたもの。
ちゃぶ台は、いつ広まって、いつ消えていったのか
明治の中ごろから家庭に入りはじめ、大正の終わりから昭和のはじめに、箱膳からちゃぶ台へと移っていきました。
1895年ごろには、折りたたみ式の座卓の特許の申請が出はじめる。
1911年には、東京だけで一日に三千個のちゃぶ台が作られていた。
ちゃぶ台の生産は、1963年をいちばん上にして、減っていく。
団地にダイニングキッチンが入り、テーブルと椅子の暮らしに替わっていった。
ダイニングテーブルのある家は、1966年に13.6%、1988年には67.3%。
「昔は、親父がひっくり返したね」
ちゃぶ台を前にして、そうおっしゃる方がいます。

大門町の滝澤の家にも、もちろんちゃぶ台はあった。
こんなにいいちゃぶ台じゃなかったけれど。
不思議だけど、昔はちゃぶ台で、みんなでご飯を食べた気がする。
テーブルを使うようになったのは、昭和40年ぐらいからだったか。
松葉屋が作るちゃぶ台
松葉屋のちゃぶ台は、金物を使わずに脚をたたむ、まん丸のちゃぶ台です。
木は、北信州の広葉樹。

金物を使わずに、脚をたたむ
金物は、一切使っていません。
たたむときは、ちゃぶ台をひっくり返して、あおり(脚を支えている板)をバタンと倒して、脚をカタカタ。
金属が入っていないので、音は少し鈍い。

何かあったら、パタンとたたんで、押入れやソファの隅に片づける。
なんて自由な家具なんだろう、と思う(2015年に書いたブログ)。
まん丸が基本 大きさと形
まん丸が基本です。
角がないのがいい。小さくても、意外と人数が座れる。
大きさは、ひとりでお茶を飲む直径四十五センチから、四人で食事ができる八十センチまで。
ご注文で、直径百二十センチの大きなものを作ったこともあります。
四角いものも、楕円も作る。楕円は、型紙を切って、縦と横の比べ方をお客様と決めました。
高さは、だいたい三十二センチ。
脚は天板の裏にたたむので、直径四十五センチの小さなものは、脚が入りきるように、もう少し低くなる。
昔のちゃぶ台は、十五センチから二十四センチくらいと、いまより低かった。
形も、長方形がいちばん多かったそうです。

信州の木で

木は、山桜、栗、胡桃、栓、楓、キハダ。
そのほか、いまは北信州の広葉樹を中心に使っています。
どの木があるかは、そのときの材料しだい。
胡桃は、信州で育ったもの。
2018年に、栗やハンノキ、キハダ、山桜と一緒に製材して、翌年まで乾かして、職人さんに仕上げてもらいました。
昔のちゃぶ台は、ハリギリ、つまり栓で作ったものがいちばん多く、いいものはケヤキやサクラ。
栗やキハダも使われていた。
松葉屋が使っている木と、ほとんど同じです。
仕上げは、植物性のオイル。
ご希望があれば、拭き漆でもお作りします。
木によって、色も、木目も、手ざわりもちがう。
ギャッベの上に、ちゃぶ台
イランの遊牧民の家には、机も椅子もない。
じゅうたんの上が、暮らしの場です。
「ギャッベがあれば、なにもいらない」
そう言ってくださる方も多い。
けれど、さすがにご飯を床にじかに、とはいかない。
そこで、ちゃぶ台です。
ギャッベの上でごろごろして、手をのばすと、そこにお茶がある。
食べ終わったら、脚をたたんで、ギャッベを一枚まるごと使える。
ちゃぶ台は、ギャッベのある暮らしに、これ以上ない相棒だと思っています(ギャッベと遊牧民と、卓袱台(ちゃぶ台)のある暮らし)。
よくある質問
「卓袱台」の読み方は?
「ちゃぶだい」です。
「たくふくだい」とは読みません。「しっぽくだい」と読むと、中国風の食卓のことになります。
ちゃぶ台を漢字で書くと?
「卓袱台」です。
昔は「茶袱台」「茶部台」と書くこともありました。どれも、音に字を当てたものです。
ちゃぶ台と座卓の違いは?
ちゃぶ台は、座卓の一つです。
床に座って使う机のうち、脚をたためて、食事に使うものを、ちゃぶ台と呼ぶことが多い。
松葉屋のちゃぶ台は、大きさや高さを選べますか?
はい。
まん丸が基本で、直径四十五センチから八十センチまで。百二十センチを作ったこともあります。
四角や楕円も、高さも、ご注文でお作りします。ふつうの高さは三十二センチくらいです。
店で、脚をたたんでみてください
松葉屋では、土蔵を中心に、店のあちこちにちゃぶ台を置いています。
ギャッベと一緒に。
ひっくり返して、脚をたたんでみてください。
金物の入っていない、少し鈍い音がします。
長野市大門町45、善光寺の表参道。定休日は火曜と水曜です。


