
ギャッベの匂いが、気になる。
そういうご相談を、ときどきいただきます。
新しいギャッベの匂いは、羊の毛の脂(ラノリン)の匂いです。
感じ方は人それぞれですが、使い込んでいくと落ち着いていきます。
気になるときは、固く絞った布で水拭きをして、風を通してください。
消臭スプレーと重曹は、使わないでください。
善光寺の表参道で家具店をしている、松葉屋家具店の九代目、滝澤善五郎です。
2007年の秋から、春と秋にギャッベ展を開いてきました。
松葉屋のギャッベの冊子に載せている、匂いの二つの質問に、あらためてお答えします。
匂いのもとは、羊の毛の脂
「初めて使ったギャッベに寝転んだら、毛の匂いが気になりました」
ギャッベの羊は、イランのザグロスの山の、高いところで暮らしています。
毛は、油をたっぷり含んでいます。
ギャッベは、その油(ラノリン)を、ほとんど抜かずに糸にしています。
織り上がったギャッベは、イランで一度洗われて、天日で干されてから、日本に来ます(ギャッベは洗濯できる?)。
それでも、はじめのうちは、毛の匂いを感じるかもしれません。
とくに、湿気の多い時期です。
同じ脂のおかげで、ギャッベは汚れがつきにくく、さわるとしっとりしています。
静電気も、起きません。
機械で紡ぐ糸は、毛の脂を抜くのが基本です。そのことは、値段の記事にも書きました(ギャッベの値段は、なぜ違う?)。

匂いは、いつまで続く?
冊子には「徐々に気にならなくなります」と書きました。
ただ、どのくらいで、とは一概には言えません。
新しいギャッベがいくら並んでいても、まったく気にならない方もいらっしゃいます。
ある匂いに、とても敏感な方もいらっしゃる。
感じ方は、人によって違います。
長野市で、ギャッベを敷いて暮らしているご夫婦に、お話を聞いたことがあります(2023年)。
奥さまが「そういえば匂いも気にならないね」。
ご主人が「湿度の高いときは少し感じることもあるけど、ほぼないね」。
湿気の多い日に匂うときは
東京のマンションにお住まいのお客様から、こんなお便りをいただいたことがあります。
昼のあいだは窓を閉め切っていて、帰ってくると、家の中にかすかな匂いがこもっている。
「麻紐のような臭い」。嫌いな匂いではないけれど、お客さんが来るときが心配、と。
松葉屋からは、こうお返事しました。
・半分ずつめくって、風を通す(もう半分は、別の日に)
・めくったときに、床も乾拭きしておく
・タイマーでエアコンをつけたり、扇風機で風を送ったりする
嫌な匂いでなければ、しばらく様子を見てください、ともお伝えしました。
その脂が、ギャッベを汚れにくく、さわって気持ちのいいものにしているからです。
梅雨のころは、晴れた日に、短い時間だけ陽に干してみるのもいいと思います。
クリーニングとリペアの職人の菅井さんも「短時間干すような感じであれば、ふわっとして気持ちいい」と言っています。
ただ、日差しに当たりっぱなしは、よくありません。羊の毛も、髪の毛と同じです。

気になったら、固く絞った布で水拭き
ぬるま湯で固く絞ったタオルで、毛並みに沿って拭いてください。
余分な脂が取れて、匂いが少し落ち着きます。
最後に、乾いたタオルで乾拭き。
さっぱりして、気持ちがいいですよ。
匂いが気になったときは、これがいちばん効きます。
三十年、四十年前の古いギャッベは、ぬるま湯ではなく、水で拭いてください。いまとは、染めの技術が違うからです。
消臭スプレーと重曹を使わない理由
消臭スプレーは、匂いにフタをする
「消臭スプレーは使ってもいいですか?」
これも、冊子に載せている質問です。おすすめしません。
消臭スプレーは、汚れや匂いに、フタをしてしまいます。
くり返し使うと、汚れが層になって、たまっていく。
そうなると、クリーニングで何度洗っても、匂いが取りきれないことがあります。
菅井さんにも、聞いたことがあります。
揮発するものなら問題ないと思うけれど、べたつくものは、吹きつけたところにゴミがつきやすくなる。
よかれと思ってしたことが、汚れを呼んでしまう、と。
ソファに消臭スプレーをかけたら、布と相性が悪くて色が変わってしまった、という話も聞いたそうです。
除菌のスプレーも、松葉屋ではおすすめしていません。
重曹は、羊の脂まで溶かす
匂いや汚れに、重曹を使う方も多いと思います。
菅井さんのところに、重曹を使ったギャッベが届いたことがあるそうです。色が抜けてしまっていた。
重曹には、油を溶かす性質があります。ギャッベの脂(ラノリン)まで、溶かしてしまう。
菅井さんは「ネットで調べてやる方は非常に多い」と言っていました。
こぼしたもの、犬や猫の匂いは、早めに
何かをこぼしたときは、早めに手当てをするほど、匂いも残りません。
乾いたタオルで手早く拭き取って、下にタオルを敷き、水を含ませたタオルで拭き取る。その順番は、こちらに書きました(ギャッベは一年中使ってください)。
犬や猫のおしっこは、こちらに書きました(ギャッベに犬や猫がおしっこをしたら?)。
水に浸かってしまったときは、こちら(ギャッベは洗濯できる?)。
それでも気になるときは、クリーニング
松葉屋では、ギャッベのクリーニングをお受けしています。
五年から十年使ったギャッベは、クリーニングをすると、全体がふんわりして気持ちがいいです。
羊の毛の匂いとは違う、いやな匂いがするときも、気軽にご相談ください。
店で、確かめてください
秋のギャッベ展の前のメルマガに、「店の中の匂いが、一日で変わります」と書きました。
一枚板が並ぶ店に、ギャッベを敷くからです。
広葉樹とエゴマの香りから、羊毛のケモノのニオイに……というのは、ちょっと冗談。
変わったかどうかは、店で確かめてください。
長野市大門町45、善光寺の表参道。定休日は火曜と水曜です。


