一枚板テーブル 栃のキラキラ杢(モク)
このような杢(モク)はなぜできるのでしょうか。
自然の不思議、そうとしか言えないうつくしさです。
寒さ、暑さの四季があるから、それも理由のひとつかもしれません。
気の遠くなるような時間が必要です。
しかし、なんとなく気まぐれにできたものではないようです。
樹木はああ見えて、生きるために様々な知恵?を働かせています。
気候や変動する環境に適応し、生育した結果があのような杢目となって
表れて来たということでしょうか。
木の樹皮の少し内側に形成層という部分があり、そこから生長した層が
樹心に向かって重なっていき細胞が木質化していきます。
春から夏にかけてできる層を早材、
夏から秋にかけてできる層を晩材といいます。
早材と晩材の境目(冬眠で活動が止まる)が、色の段差を生み、
成長輪(年輪つまり木目)となるのです。
そして、何百トンにもなる巨体の自重と、育つ環境に左右されます。
枝や葉が多くなるにしたがい、風や雪の影響を受けやすくなり、
木はバランスを保とうとします。
木の内部に働く力を内部応力といいますが、
その応力を表面全体に均一に分散させるように、
内部の細胞の生長をコントロールするのだそうです。
マテック氏・クーブラー氏著『材-樹木のかたちの謎』によると、
樹木の力学的な自己最適化には5つの法則があるといいます。
風のいつも強い場所であれば、風になびく側に幹は倒れ、
それを支えるように細胞を生長させます。大木となると、
自分の重みを支えなければなりませんから、根際では皺をよせたりしますし、
年輪幅も当然小さくなります。
この大きく曲がった栃は
おそらく急傾斜という厳しい環境が、
繊細で、キラキラと波のようなうつくしい杢に育てました。
一生使えるテーブル
松葉屋が森になりました。