「一生使える学習机」十二の想い(10/12)

こんばんは。100年家具店店主、松葉屋善五郎です。

 

第十章 私が考える「一生使える学習机」とは?

本章では、私、善五郎がつくった学習机にまつわる八つの心得を紹介します。

具体的な設計の意図や想いを綴っていきます。どうぞお付き合いください。

 

一、「一生もの」とは

二、私が考える「一生使える学習机」とは

三、学習机は、毎年モデルチェンジしなくてはいけないのか

四、私がつくった学習机に、ひきだしが一杯しかない理由

五、「一生使える学習机」は、なぜ90cm×60cmなの?

六、スクエアな理由

七、「一生使える学習机」をつくる、5つの要素

八、「一生使える学習机」は、「組み立て」と「分解」が簡単にできる

 

 

一、「一生もの」とは

私が考える「一生もの」とは、百年以上、少なくとも二代に渡って引き継がれるものという意味です。

家具の大量生産・大量消費が始まったのは、意外に最近のことで、第五章でも触れた、子ども部屋の個別化と時代を共にしています。

修理して使うより、捨てて新しいものを買えばいいじゃないか、という価値観が広がりつつある時代でした。

 

さて、あなたのお住まいを眺めてみてください。

あなたにとって大切なものは、どれくらいあるでしょうか?

例えば、

あなたの家の宝物のように、代々引き継がれてきたもの

あなたのお子さんに、あなたのお孫さんに、引き継いで使ってもらいたいもの

きっとあるはずです。

私にとっての「一生もの」とは……

時間に耐え、人の価値観にも耐えられるものです。

まさに私にとっては、松葉屋がそうであるように。

 

二、私が考える「一生使える学習机」とは

私が考える「一生使える学習机」とは、次の八つのことを守ってくれる机です。

 1、使う人の体や精神に一切負担をかけないこと

 2、百年以上、世代を越えて使うことができること

 3、製作過程がオープンで、環境への負荷がないこと。また、製作する職人にも健康面の負担がないこと

 4、仮に廃棄する場合、全て土に戻ること

 5、機能に徹して美しいこと

 6、国内産広葉樹で製作すること

 7、天然の亜麻仁油で仕上げること

 8、お手入れをすることでより美しくなること。また、それがゆえに、愛着をもてること

この8つのことが、「一生使える学習机」の最低必要条件であると、私は考えています。

シンプルなようでも、辺りを見渡してみると、意外と少ないものです。

 

三、学習机は、毎年モデルチェンジしなくてはいけないのか

家具メーカーが机の型を毎年変える理由は一体何でしょうか?

おそらくひとつには、より良い製品をつくりたいという建前。

本心は、旧式を踏み台にして「新商品」という看板を掲げることで、より多くの需要をつくりたいということだと思います。

もちろん、技術の進歩に伴い、新商品は生まれていきます。

 

だけど、私が「一生使える学習机」を考えた時に大切にしたいと思ったのは、

いつまでも新しく、秀逸なシンプルさを秘めたものである、ということでした。

だから、松葉屋の学習机はずっとこの形であり続けるのです。

四、私がつくった学習机に、ひきだしが一杯しかない理由

あなたも経験したことがありませんか?

収納スペースがあればあるだけ、気がつけば物を詰め込んでしまっていた、なんてことを。

それではひきだしが10杯あっても、足りませんね。

そして本当に必要なものは埋もれ、今日明日、使う大事なものはどこへ行ったかわからなくなってしまいます。

だから、ものというのは、あればあっただけ「便利」になるけれど、本当に必要なものはたくさん要らない。

そう思った私は、

「一生使える学習机」のひきだしを、一杯だけにしました。

本当に必要なプリント、今日の宿題、必要なだけの筆記用具だけを入れてください。

ひきだしが一杯しかないために、何が必要で、何がいらないか、判断する訓練を、毎日の暮らしの中で経験していくことになります。

 

五、「一生使える学習机」は、なぜ90cm×60cmなの

タタミの大きさはおよそ180cm×90cm、いわゆる六尺×三尺です。

このサイズは日本人の体形から長い年月をかけて決められたもの。

私のつくった学習机の巾は、たたみ短辺と同じ三尺90cm、そして奥行の二尺60cmです。

プリントサイズや教科書などを置くことを考えたサイズです。

また、3:2の比率は見た目の「ちょうど良さ」を表現しつつ、リビングに置いても不自然にならない、実用的なサイズを考え抜きました。

六、スクエアな理由

私のつくった机は、ぱっと見ると天板、脚、すべてが四角のスクエアなデザインです。正確に言うと、すべての角に「糸面」という1~2mm程度の”ひとかんな”をかけただけの、最小限の面取り仕上げにしています。

学習机によくある丸い面取りは、表面的なやさしさやm安心感を表現していると思われますが、子どもに媚びたものに感じますし、シンプルさが失われてしまいます。

私がスクエアなデザインにしたのは、そんな理由です。

 

七、「一生使える学習机」をつくる、5つの要素

ものごとはシンプルであればあるほど、長持ちし、安全であると私は考えています。

「一生使える学習机」に必要だったのは、次の5つのシンプルな要素でした。

 

1、厳選した国内産広葉樹

 2、天然の亜麻仁油の仕上げ

 3、ジョイントボルトだけの、最小限の金物 

 4、ひとりの職人が一貫して木取りから塗装まで仕上げる

 5、デザイン・製作管理は善五郎が行う

 

複雑にせず、シンプルなプロセスをつくることも、ものづくりの大切な土台であると私は考えます。

 

八、「一生使える学習机」は、「組み立て」と「分解」が簡単にできる

組み立てと分解が簡単にできるように、最小限の金物(ジョイントボルト)しか使っていません。

お子さんが高校を卒業し、大学入学、そして卒業や就職を経ても、ずっとそばに連れていってほしいから、どんな場面でも持ち運びできるように、「組み立て」と「分解」が簡単にできる設計にしました。

それは何かあった時、補修したい時、遠方でもその部分だけお送りいただくことができます。

「一生ものの学習机」は、一生あなたのそばについていくことができる机でなくてはならないのです。

 

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