繕い、直し、使う

こんばんは!

100年家具店主、松葉屋善五郎です。

 

BORO—つぎ、はぎ、いかす。青森のぼろ布文化 を再読しました。

BORO

寒さと貧しさの中から生まれたサバイバルのかたち、
奇跡のテキスタイル・アート、“ぼろ”。本物のエコロジーは美しい。

という内容で、とても期待して一読した。

期待して、というのは最近、江戸時代の暮らしぶりや
リサイクル事情を杉浦日向子さんや、石川英輔さんの文章から
興味を持ったところだったので。

長い引用で申し訳ないのですがー

石川英輔さんは、
竹中平蔵さんがライフスタイルサロンを始める
きっかけになった方だということだ。

74歳にして、軽妙なトークで聴衆を惹き付けていた。
あんなおじいさんになりたいなあ、と憧れた。

ーーー
昭和35年頃は、今と比べてどのくらい江戸だったかというと
70%くらい江戸だったんじゃないか。
それくらいこの数十年で激変した。

 

昭和21年に、25%しか進学しなかった旧制中学でも
クラスで2人しか電話を持っていなかった。

自家用車なんて、今で言ったら、
家庭でロケットを持っているようなものだった。

最近1年くらい考えているが、
その当時はモーターなんて一つもなかった。

部屋も対角線上に歩くことが出来た。
今じゃ、ものが多くて対角線なんて歩けない。

現在の日本は化石燃料だけで、ひとり一日あたり、
10万Kcalのエネルギーを使う。

このエネルギーは、1t、0℃の水を沸騰させることの
出来るエネルギーだ。

大阪万博の当時でも5万Kcalだった。
この当時、自動車の世帯普及率は40%、現在は140%。

石川英輔さんの車は1100kg、体重は68kg。
68kgの体重を1100kgのものを使って運んでいる?

もはや、車を運んでいるとしか言えない。
車だけじゃ動けないから、人間がついて行っているようなものだ。
無駄きわまりない。
でも、便利だからやめられない。

ペットボトルのリサイクルというが、
あんな軽いものを車で回収して、リサイクルに掛ける。
還元するエネルギーの何倍のエネルギーを使っているか計り知れない。

昔は、SLだって国産の木炭で走っていたし、
都電だってダムの発電で100%まかなわれた。
しかも、ダムから落ちた水は、人が飲む。
化石燃料なんて、全然使わない。

動力は99%以上人力だった。
モーターなんて本当に一つもなかった。

江戸時代は0Kcalだ。

江戸時代には、人力が穀物を作り、
収穫された穀物が翌年の人間のエネルギーになった。
米が500万トン、わらが500万トン取れた。

米は、全て食事になる。これは下肥になって、

田畑に戻る。

土に返る。

下肥にして良いことは、水が汚れない。
江戸時代には大阪の水路はすべて飲める水だった。
下肥は臭いけど、体には悪くない。別に臭くて死んだ人はいない。
健康を害して早死にもしない。

昔は回虫を体から追い出していたが、
これはエネルギーを回虫に取られて、太れなくなるからだ。
回虫は無害だ。人間を殺してしまったら、自分が死んでしまう。

出来たわらの内、50%は堆肥に、
30%は灰に、20%は製品になる。

当時、灰はアルカリ剤が無かったため需要が多かった。

製品は、わらじやむしろ、俵、縄など、
江戸時代はわら製品ばかりである。
江戸時代は、わらの出来る稲が良い稲だった。
製品はいらなくなったら燃やして灰にしてしまう。

こうして、全てまた土に返る。100%リサイクルされていた。
当たり前だったから、リサイクルなんていう言葉は無かった。

勝手に土に返っていたのではない。積極的に土に戻されていた。

結局、人力と太陽エネルギーだけで、また穀物を作ってリサイクルしていた。

着物もリサイクルには最適だ。
サイズを簡単に変えられるので、仕立て直しが出来る。

洋服じゃ出来ない。
駄目になったら、おしめにすれば良い。

おしめも駄目なら、雑巾にする。
雑巾も駄目なら、燃やしてしまって土に返す。

 

こんなにリサイクルされていた状況が
30~40年で一気に全く循環しなくなった。

江戸時代には、太陽エネルギーが全てだったため、
それ以上の人数の人が生きることは出来なかった。

江戸初期の元禄時代に、
人口が1200万人から3000万人に増えた。
これは、農業の生産性が格段に上がったからである。

 

秀吉の1地1作人、太閤検地による功績だ。
秀吉は、荘園を全て潰して農地にした。
反対する人は全て殺した。武力革命だ。
これによって、農業の生産性が大幅に上がった。

今はエネルギーを使い過ぎだ。
江戸時代の何倍使っているか分からないが、
人間は江戸時代の2倍も食べ物は必要ない。

靴だって3000足も持っている人もいるが、
5、6足しかなければ、500分の一も貧しいかというとそうでもない。
くれるって言ったって、そんなにもらってもゴミになる。

高タンパク、高脂質の食事を摂っているために、
昔は老人病と言われていた高血圧が、
今は小学生の20%程度がかかるほど低年齢化してしまっている。

江戸時代の暮らしがそんなに貧しかったかというと

実はそうでもない。

不便だったはずのことが、意外とどんどんよく感じられるようになっている。

食料不足で日本の自給率は40%しかないことは危機だと言われているが、
実は今は買った食べ物の35%は捨てていると言われている。
食べ物が不足すれば捨てなくなるので、実は自給率は70%くらいはあるのだ。

最悪はマンションを潰して畑にすればいい。意外と野菜はいっぱい取れる。
一生懸命やってたときは、二坪でも、家族3人の三分の一の野菜は取れていた。

二酸化炭素の排出量を減らそうなんていう運動があるが、
多少二酸化炭素が増えたからって、人間は別に苦しくならない。
パンダがいなくなったって、トキが絶滅したって苦しくならないよ。

もっと自分の体に優しいことをすることから考えた方がいい。
ー引用ここまで

江戸時代の日本は「植物国家」だった。

石川英輔さん
作家・武蔵野美術大学講師
●江戸時代から学ぶ「エゴエコ」ライフスタイルのススメ

タイトルとURLをコピーしました