松葉屋に面する中央通りは、善光寺へと続く表参道です。
その通り沿いには、1.4kmにわたってカツラの木が植樹されています。
カツラは生育環境が良いと20m以上にもなる高木のため
一般の庭ではあまり見かけません。
ではなぜ、カツラの木なのでしょうか。
それには「善光寺」が関連しています。
国宝に指定されている本堂は日本最大級の木造建築で、
煩悩の数といわれる108本の柱で造られています。
その柱の多くに、カツラの木が使われているのです。
中央通りのカツラ並木は、四季折々に美しい姿と香りで楽しませてくれます。
例年4月を過ぎると少しずつ芽吹き出し、
ゴールデンウィークのころにはやわらかな若葉となって、
梅雨時期にはさらに勢いを増して通りに心地よい景色を生み出してくれます。
そして秋になると黄金色に変化し、落葉した冬は
イルミネーションでまちを華やかにしてくれる。
そんな大切な木が、枯れてしまったのです……。
木を扱う家具の専門家でありながら異変に気づくことができず、
今年は葉が展開せず寂しい姿になってしまいました。
カツラの木に、まち行く人々に、丹精込めて街路樹の世話をする町内の皆さんに
お詫びの言葉もありません。
反省の気持ちを込めて、これからこの木の再生までの道のりを記録していきたいと思います。
(つづく)