
ギャッベは、日焼けするのか。
します。
紫外線を浴びた量だけ、染めた色は、少しずつ抜けていく。
でも、白っぽくはならない。
色が抜けたところから、羊の毛の、もとの色が出てくる。
染めた色と、羊の色が重なって、落ち着いていく。
色あせ、というより、育っていく。
十五年、二十年使ったギャッベも、日焼けで傷んでクリーニングに届いたことはない、と職人さんは言います。
善光寺の表参道で家具店をしている、松葉屋家具店の九代目、滝澤善五郎です。
2007年の秋から、春と秋にギャッベ展を開いてきました。今年の秋で三十九回目。
「窓ぎわに敷いても、色は大丈夫ですか」
店で、よく聞かれます。
クリーニングと修理を頼んでいる職人さんに聞いたことも合わせて、書いておきます。
色が抜けても、白くならない理由
ふつうの羊毛は、油を抜いて、色も抜いて、まっ白にしてから染めます。
だから、紫外線で染めた色が抜けると、下の白が出てくる。それが、色あせて見える。
ギャッベの羊毛は、油を抜きすぎない。色は、抜かない。
羊そのままの色の毛に、草や根の色を重ねて染めている。
だから、染めた色が抜けても、出てくるのは羊の毛の色です。
「白っぽく色褪せることはないです。表面の染めた色がゆっくりと抜けていくので、原毛の色が見えるように」
建築家のお客様に聞かれて、佳子がそう答えていました(インタビュー「ギャッベ108の暮らし」)。
羊の毛の色は、白だけではない

ギャッベの羊は、イランのザグロスの山で放牧されています。
白のほかに、茶色、灰色、黒に近い焦げ茶。
頭と体と足の色がちがう、三毛の羊もいる(羊の色、そのままのギャッベ)。

染めていない、羊の色だけで織ったギャッベもあります。
アイボリーから、こげ茶まで。
染めた糸は、強い日ざしの下で干してある
ギャッベの色は、もともと太陽の下で仕上げられています。
染め上がった糸は、水で洗ったあと、標高二千メートルの土地で、じりじり照りつける直射日光に当てて乾かす。
茜で赤く染めた糸は、まる一日、日にさらす。半日外にいると真っ赤に日焼けするほどの太陽だそうです(向村春樹・片岡弘子『GABBEH 草木染め絨毯ギャッベ』新宿書房)。
織り上がったギャッベも、洗ったあと、サッカー場ほどの広い干し場に並べて、天日で干す。
以前、イランのギャッベの工場へ行ったとき、その干し場を見ました。
砂利の上に、一面のギャッベ。
太陽をたっぷり浴びて、きれいな彩りを浮かべるギャッベは、とても美しかった。
十年、二十年使うと、どう変わるか(経年変化)


十年使ったギャッベを、クリーニングに出したお宅がありました。
戻ってきた一枚は、黄色が少し抜けて、羊の毛の色が出て、艶が出ていた。
シャンパンゴールドのような色に。
2009年にギャッベを選んでくださった方からは、八年目に、こんなお便りが届きました。
「かれこれ8年くらい使っていますが 少しほつれ毛がでたくらいで、色あせなどもなく」(1000のギャッベのある暮らし)
建築家のお客様のお宅のギャッベは、朱色に少し透明感が出てきた、と佳子が言っていました。
色だけでなく、手ざわりも育つ
ギャッベの糸は、長い毛を中心に手で紡いであって、短い毛もいっしょに紡がれている。
使ううちに、その短い毛が抜けて、はじめのふっくらした厚みは少しずつ減っていく。
そのかわり、しっかり紡がれた長い毛が残って、艶のある、しなやかな一枚になっていきます。
僕の家の、二十年目のギャッベ
家で使っているギャッベは、松葉屋がギャッベを扱いはじめる、少し前から敷いている。
今年で、二十年目。
幅百二十センチの、薄黄色のギャッベ。
本当に、しなやかになった。
羊の毛の、もとの色合いが浮き出てきたようで、美しく仕上がってきた感じがする。
窓ぎわに敷くなら
「自分の髪の毛やペットに置き換えると答えが出てきます」と、職人さんは言います。
ギャッベも、羊の毛。
直射日光にガンガン当たれば、髪の毛が傷むのと同じ。
「当たりっぱなしにしないほうがいい、というのが正直なところです。羊の毛は油分があるので痛みにくいですけど、ずっと日差しが当たっていたら傷まないわけではないです」
そのうえで、こうも言っていました。
「今まで、15年、20年くらい経ったギャッベもクリーニングに届きますけど、日焼けによって傷んだギャッベが届いたことは幸いありません」
半年に一度、向きを変える
日がよく当たる場所なら、半年に一度、ギャッベの向きを逆にしてみてください。
日の当たり方が散らばる。
見る向きが変わると、色もちがって見えます。
直射日光がそこまで当たる場所なら、ギャッベより先に、床のフローリングのほうが焼けるかもしれない、とも職人さんは言っていました。
干すなら、短く
ベランダに干すなら、短い時間で。
「短時間干すような感じであれば、ふわっとして気持ちいいので、おすすめします」と、職人さん。
よくある質問
ギャッベは何年使えますか?
十五年、二十年使ったギャッベも、クリーニングに届いています。
ただ、何もしないで百年もつわけではない。百年もののギャッベには、繕った跡がある、と職人さんは言います。
手入れとクリーニング・修理のことは、ギャッベは一年中使ってください ―― 手入れ・クリーニング・修理のこと に書きました。
店で、光の中で見てください
松葉屋では、店のあちこちにギャッベを敷いています。
同じ一枚でも、光で色がちがって見える。
色が抜けていくことを、怖がらなくていい。
羊の色に、戻っていくだけ。
長野市大門町45、善光寺の表参道。定休日は火曜と水曜です。


