おはようございます。100年家具店主、善五郎です。
現在、松葉屋では
「春の一枚板テーブル展」を開催中です。
日本の山で育った樹齢200年の広葉樹からつくった一枚のテーブル。
同じものは二つとなく、自然の中で育まれた豊かな表情をもつ木々。
しなやかに、力強く、凛とした佇まいが物語るものは、時代が流れても、暮らしのかたちが変わっても、私たちに何か大切なことを教えてくれるのかもしれません。
そんな一枚板のテーブルができるまで。
その過程をみなさんにお伝えしたいと思います。
「一枚板のテーブルができるまで」
01 原木を選ぶ
02製材と乾燥。家具をつくること、届けること
03直し、繕い、永く使い続けてもらうために
「いいものをつくりたい。それをお客さまにお届けしたい。そのためには、途方もない時間と人の手が携わっています」
今回のブログで紹介したいのは、一枚板のテーブルができるまでの一部始終、
「製材と乾燥」→「家具をつくること」→「家具を届けること」です。
「製材と乾燥」①自然乾燥
松葉屋が長年、「製材と乾燥」をお願いしているのは、広葉樹の製材・乾燥に特化した『カネモク』さん。ここに運ばれてきた木は、まず自然乾燥にかけられます。これだけ雨に打たれても、木の芯まで水が浸透することはないそう。むしろ、このあとの蒸気乾燥には、ひたひたに濡れているくらいがちょうどいいのだとか。詳しくは後述。
皮を削られた木が運ばれていきます。
まだ湿気を含んだ木たちは、鳥の毛羽立ちのよう。ちなみに木の皮は、熱エネルギーにかえられて、再利用されていきます。
「製材と乾燥」②カット
木の角度、反り、年輪の向きなど、家具になる姿を想像して、切り口を決めます。永年、木のことを見てきた人たちの五感を頼りに、何度も角度を変え、切り口を微調整。一回限りの読みが、木を生かすも無駄にするも、その後の何百年を左右します。
「製材と乾燥」③蒸気乾燥
驚く方も多いと思いますが、一枚板テーブルの乾燥は、蒸気のみ。
化学的なものは一切使いません。(その蒸気乾燥の詳しい話は、以前の『手仕事のいろは』をぜひ読んでいただきたいです)。
時代や生活環境の変遷とともに更新され、代々受け継がれてきた特殊な乾燥の技術は、『カネモク』さん独自のもの。
何段にも積み上がった木材が、大きな釜の中で蒸気乾燥にかけられます。これにより、家具として使われる環境や湿度、気温などに適した含水率に均していきます。
こうして、蒸気乾燥や自然乾燥を経て、1年半から数年かけて、ようやく原木が家具製作に進める時期になります。
「家具をつくる」
松葉屋は長年の信頼をおく『木と暮らしの制作所』に、家具づくりを一貫してお願いしています。
『木と暮らしの制作所』浦西さん(左)と工場長の阿部さん。浦西さんとの付き合いは長くなりました。「こういうことがやりたい」と投げると、思った以上の提案をしてくれます。逆にダメ出しが多いのも信頼できる関係だからこそ。
『カネモク』さんとの距離が近いという点(運搬にそれほどコストがかからないというメリット)も味方して、浦西さん自身が、製材と乾燥の現場に立ち会うこともあります。これは単に、「コストがかからない」というお金の話ではなく、一つの家具をつくるのに、どれだけのエネルギーが使われているのかを精査することに、僕たちは重きを置いています。製材から家具づくりにかけて、大きなトラックで何往復もするような物流でない方が、より良いと考えるからです。
ただし、メール添付して、ポチッと押せば届くというものではないので、木材の運搬もなかなか大変です。
「家具を届ける」
こうして出来上がる一枚板のテーブル。さらに、お客さまの手に渡って、ようやく家具としての役割が始まります。お客さまへお届けする時もなるべく、僕たちの手で。過剰な梱包を減らしたいということもありますし、ちゃんと自分たちの手でお見送りしたいという気持ちもあります。これまでに日本中、津々浦々、時間の合間を縫って、お届けに行く日々を過ごしてきました。これもなかなか愉しい時間です。
いかがでしたでしょうか?細かな話は、飛び飛びになってしまっているところもありますが、一枚板のテーブルができるまでには、たくさんの人が携わっています。これができるのも、力を貸してくれるみなさんのおかげだと、つくづくありがたいなあと思うばかりなのです。
日本の山で育った樹齢200年の広葉樹
「一枚板のテーブル展」
2018年2月24日〜3月18日
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