こんばんは。100年家具店主、松葉屋善五郎です。
突然ですが、この真鍮のプレートを見たことがありますか?
連載で書き綴ってきた「十二の想い」も今回で第三章です。
今回は、「このプレートとの出会い」についてお話しします。
ぜひ一度読んでみていただき、皆さんの感想などもお聞かせくださいね。
第三章 一生ものにこだわる理由
以前、とても嬉しい仕事をいただきました。それは、長野のとある高校の教頭先生がお見えになって、学校の家具の修理を依頼されたことから始まります。実は、依頼された家具は、昭和二年に松葉屋家具店が製作した衝立(ついたて)でした。昭和二年というと今から85年も前のものです。
それなのに、なぜその家具が松葉屋家具店製とわかったのでしょうか?
……その理由は、
お店のプレートが打ち付けてあったからだったのです。
後日学校へ行き、現場を見せていただくと、和洋折衷のモダンなデザインの衝立と対面することになりました。生徒さんたちは、毎日水拭き掃除してくれていたとのこと。僕は感謝の気持ちでいっぱいになりました。
昭和二年というと、先々代の善五郎、つまり、私の祖父の時代です。残念ながら私が生まれる前に亡くなっていましたが、その祖父に出会えたような気がしました。
後世に恥じないものをつくる。
言葉で言うのは簡単ですが、それを実現するのはとても難しいことです。しかし、この出来事を通じて、そのことの素晴らしさと、そのことの責任の重さの両方を実感しました。
一生ものをつくり続けていく。
それは単なる宣伝コピーでなく、松葉屋家具店の○○なのです。
大切にしていきたいことは、このプレートに全て込められている。そんな風に思うのです。
次回は第四章「家具業界の非常識な常識」を綴ります。