こんばんは
100年家具店主、松葉屋善五郎です。
木材の乾燥方法には、天然乾燥と人工乾燥があります。
【天然乾燥】
文字通り天日干しのこと。
野ざらしにしているので、
風雨にさらされると虫がついて風化する恐れがあります。
実際材として使うまでに時間が長期間が必要です。
反面、ゆっくりと水分が抜けていくので木にとってはやさしい。
長時間乾燥しても、そのときの気乾含水率以下に下げることはできないこと、
乾燥中にカビや腐朽菌の被害を受けやすいというデメリットもあります。
【人工乾燥】
木材を乾燥装置の中に搬入し、装置の中で熱を加えたり、
除湿した りして、木材を短期間の間に乾燥させる方法です。
代表的な方法としては、
蒸気式、高周波式、除湿式、燻煙熱処理式等があります。
松葉屋では、
約1年程度の天然乾燥ののち、人工乾燥にかけています。
今の住宅が高気密高断熱のため、室内が乾燥しているので
乾燥が甘いものを乾燥している家に持っていくと、
急な環境の変化に対応できなくて、割れてしまうことがあります。
通気性のいい昔の家だと風通しも良く、季節により程よい湿気があり
多少乾燥が甘くても、木にとってそこまでの負担にはなりません。
天然乾燥だけだと乾燥しきらないので
今の家に対応する為に、人工乾燥をかけてしっかりと水分を抜く事が
大事だと思っています。
通常、含水率を17~18%くらいまで落とせば乾燥材として通用するので
一般的な一枚板材木屋さんは大体17~18%を乾燥材として位置づけています。
でも、一般的な家の環境は
湿度にして12~13%(お部屋の場所によってひと桁%になることも!)ですから、
使い始めると材の乾燥が更に始まってしまいます。
(木材の含水率と、空気中の湿度は意味が違います。後ほど説明しますね。)
そのため松葉屋では、乾燥材木を買い付けの後
住宅の環境に合わせ、再度乾燥にかけて10%まで落とし、
その後外の空気に慣らして12~13%になるように調整しています。
なぜ、材木屋さんで17~18%で乾燥をやめるかというと、
それ以上乾燥させてしまうと
割れて使い物にならなくなる可能性が高くなるから。
一枚板購入された方や、購入を検討している方から
「一枚板は反ったり、割れたりしますよね」というご相談を
よくいただくのは、そういう理由もあるのかもしれません。
他の工房や他社さんが、なぜそのまま加工しているかというと
あまり問題にしていないというのが実際かもしれませんし、
乾燥機がない、環境が整っていないからということもあります。
例えば長野周辺では、なかなか難しい。
松葉屋は木工の産地である飛騨の乾燥の専門業者と提携して、
可能にしています。
普通1枚2枚持っていって乾燥機を動かす事は
コストがかかるのでできませんが、
他の材を乾燥させる時だったら隙間に入れてもらう事が出来る。
これは、家具産地飛騨だから可能なことで、
松葉屋と乾燥専門業者との関係があることで
融通が利くからできることなのです。
松葉屋が乾燥をお願いしているところは、
家具材の乾燥を専門にやっているところ。
専門という事で意識も高いのです。
乾燥の途中で手前と奥、上下を入れ替えたりして
木の様子を見ながらきちんと乾燥をしてくれていますから
安心できます。
ちなみに含水率とは
木材と水分の関係を順序よく理解するためには、
含水率から入るのがスムーズでしょう。木が含んでいる水分の量は樹種によっても違いますし、
同じ木でも辺材か心材かといった
場所によっても異なります。
さらに生育環境や季節によっても変動します。針葉樹は、心材の含水率は40%から50%、
細胞が活発に活動していた辺材部分では100%から200%といった値になることも
珍しくありません。広葉樹の場合は心材と辺材において含水率の差が大きいものもあれば
小さいものもあり、様々です。
ポプラのなかには、伐った時に心材を指で押すと水が飛び出すぐらいに
たっぷり含んでいるものもあるほどです。ところで含水率は、なぜ100%を超える数値が出るのか不思議ではありませんか。
水分と言ったら、ものの総量に対する水の量の割合と捉えるのが通常です。
たとえば「みかんの80%は水分」といえば、
100gのみかんに80gの水が含まれていることになります。ところが木材の世界は違って、水を一切含んでいない組織の重量を100と考えるのです。
乾量基準含水率(全乾法)と呼ばれる表し方で、
これに対してみかんの例は湿量基準含水率といいます。木材の含水率は、下記の計算式から算出します。
含水率(%)=(木材の乾燥前の重量(g)-乾燥後の重量(g)) ×100
乾燥後の重量(g)木材にどれくらい水分が含まれているかは、
木材の重量と含水率が分かればこの計算式を使って推定できます。たとえば重さ100gのスギ材を乾燥させたら、89gになったとします。
上記の式で計算してみると、このスギ材の含水率は、約12%となります。では先ほどのみかんはどうでしょう。
100gのみかんを乾燥させたときの重量が20gだとしたら、水分量が80g、
木材の計算式にのっとると……、なんと含水率は400%にもなります。
わかったような?
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