こんにちは。100年家具店主、松葉屋善五郎です。
第四章 家具業界の非常識な常識
一、遅れている家具業界
あなたはこういう経験はありませんか。家具専門の量販店やホームセンターに置いてある家具の前で、鼻をつくツンとしたニオイを感じたこと。
私の知人はこういうニオイに敏感で、頭が痛くなるそうです。
第二章でも少し触れましたが、実は、建築基準法におけるシックハウス対策に、置き家具(テーブル、椅子、食器棚、タンスなど)は含まれていません。
かつて、通信販売で購入した輸入家具から強いホルムアルデヒドが検出されたという報道もありました。
私の友人で工務店の営業マンだった人が話していた、
「新築の家でヘンなニオイがする」というクレームがあり、原因を調べたら、お客様が新しく買った家具のニオイだったなんて事例もありました。
しかし、
家具業界の一員である私が言うのも恥ずかしいことですが、
今でも、直接的な規制がない置き家具だけは、
シックハウス対策の関門を素通りできてしまう、野放し状態なのです。
二、F☆☆☆☆(フォースター)なら安心か
そんな家具業界の中でも健康に留意している家具店は少なくありません。
住宅の建材と同じようにF☆☆☆☆(フォースター)の材料を使っている家具を販売している店があります。さてF☆☆☆☆の家具なら本当に安心なのでしょうか。
「このF☆☆☆☆はあくまで法律としてのひとつの基準であって、充分ではない」というのが、私の考えです。
まず規制されているのが、化学物質の中のホルムアルデヒドに限定されていること。さらに規制基準値がかなりゆるいこと。私から見るとシックハウス対策法自体がはっきり言ってザル法といっていいと思います。
建築基準法で規制しているのは、あくまでホルムアルデヒドなので、それに代替されるものは規制の対象になりません。F☆☆☆☆だからといって、化学物質がゼロなわけではないのです。
なぜ製造する側の事情で健康を損なわなくてはならないのか。
なぜ、もっと単純にできないのでしょうか。
よくわからない物質を使わなくてはならない理由は何なんでしょうか。
食器から水、空気にいたるまで安全の信頼が損なわれてしまった現在、ただそのことを非難するだけでなく、自分を含めて真剣に考えなくてはいけません。
次回は第五章では、「学習机の登場は意外と新しい」を綴ります。