「p a n + c a f e 」と、とある空間の記憶

記憶ある方もいらっしゃるかもしれないですね。
もう30年だったか、 松葉屋の2階がカフェだったことを。

その場所は「pan+cafe」。pan はフライパンのパンを意味していて、僕好みに焦げくさいくらい濃く深煎りの珈琲は、まだひとりで焙煎をされていた「丸山珈琲」さん特製の「松葉屋ブレンド」を提供していました。

そこにはイギリスのアンティークの椅子と、僕がつくっ た2 .7m のカウンターテーブルを置いていました。朝のそうじをする前、ひとり静かに、ここでコーヒーを飲むのが僕の日課でした。 家具屋にどうしてカフェを? と思われる方もいるかもしれません。それには、ずっと思い描いていた景色がありました。

少し古い話をします。
学生時代から東京で過ごした20代を経て、長野に戻ってきた頃。家具屋という仕事に迷い、松葉屋の行く末に思いあぐねていた僕は、当時、東京・青山の「IDÉE」という家具屋に出かけました。そこは面白い建物のつくりで、記憶では1 階は家具店、階段を上るとカフェレストランがありました。お店に入ると、上階からカップの擦れる音やコーヒーの香り、澄んだ音楽やささやくような会話が天から降ってくるように聞こえてきたのを鮮やかに覚えています。

それから、盛岡で行き着いたギャラリーカフェ彩園子(サイエンス)。1階はギャラリーと画材屋で、2階がカフェだったと記憶していますが、そこは「IDÉE」のそれとはちがって、ただただ静まりかえった空間。ぼーっとしながらコーヒーを飲むのがとても心地よかった。あの心地よさはなんだろう。感じた何かを松葉屋で再現できないだろうか。その答えが「pan+cafe」でした。

ひとりコーヒーを飲みながら感じる朝のシンとしたひややかな時間。店がはじまると、ざわめき立つ2階の空気。今でもたまに2階の吹き抜けを見上げては、あのひとときを思い出しています。

時間と空間、それから苦くて甘いコーヒーの香り。 pan+cafe は、最高のカフェだったと思いますよ。

店主/滝澤善五郎
書いた人店主/滝澤善五郎

愛着もてるものを
手入れしたり、メンテナンスしたり、修理したり
そうやって永く、永くつき合っていく。
「繕い、直し、使いつづける」
ボロッちくて、朽ち果てたものが大好きです。
ぜひ一度、私 善五郎に会いにお出掛け下さい!

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