【視点】「保冷庫付き狩猟鳥獣搬出装置の開発着手」のニュースから、動物の命を考える

私、善五郎が気になったニュースから話題を広げる【視点】。

今回は2023年8月12日の信濃毎日新聞に掲載されていた「保冷庫付き狩猟鳥獣搬出装置の開発着手」についての記事が気になったので、ご紹介します。

長野県では獣による被害額(令和2年度のデータ)が約3億3千万円、そのうち最も多い割合を占めたのがシカによる被害で約1億2200万円とあります。生息するエリアも拡大して、現在ではほぼ全域にいることが確認されているのだそうです。

県野生鳥獣被害対策本部では「人間と野生鳥獣の緊張感あるすみ分けの実現」を目指すためにさまざまな取り組みをしています。その1つが、増え過ぎないよう適切な個体数に整えるために狩猟を行なっています。

12日の記事には、県内の猟友会などがコンソーシアム(共同事業体)をつくって、シカやイノシシの搬出装置開発に乗り出したとありました。その背景には害獣として駆除するだけではなく、需要が増えているジビエという資源として活用していこうという動きがあります。実際に利用されたジビエの量は、2021年度は過去最高で212トンにもなったそうです。

それにしても木々が生い茂り、傾斜や岩がある山中にどのような装置を開発するのか気になりますよね。記事を読んでみると、保冷庫を積んだリモコン式の小型車両を山中に入れ、ストレッチャーに載せた動物を車両までワイヤーで引っ張って運ぶ構想だとあります。これならたしかに猟師がかつがずとも運べるし、保冷庫に入れることで肉の鮮度を保てそうです。

実際に鮮度を保つのは大変だと聞きます。猟友会も高齢化などが進んで、動物を仕留めたは良いけれどもすぐにおろせずに腐敗が始まってしまうことがあるのだとか。

以前に保冷庫や水道などの設備が付いた特殊車両を所有する、南信地域の猟師兼加工業者はこんな話しをしてくれました。

「人間の勝手な都合で害獣と言われてしまっている動物を、私たち狩猟者は撃ち落とした命に最後まで責任を持って、食べた人がおいしいと言ってもらえるよう加工をしていくんです」

そのためにも仕留めた動物はすぐに回収できるよう、自社で特殊車両を持って鮮度が高いうちに加工できるよう整備をしているそうです。

今回の構想はそれよりはるかに大掛かりな搬出装置の開発になりそうですが、はたしてどのようになるのでしょうか。今後の情報に注目してみたいと思います。

 

 

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