毛質も柄もこの上がないといわれている、イラン・テヘランにあるゾランヴァリ社の体育館のような倉庫からギャッベの選定人が2000枚を選び抜き、展示会では長い付き合いの中から松葉屋の好みをわかってくれているギャッベの選定人が、松葉屋でしか見られないようなギャッベを500枚選定してくれるようになりました。
そして、たくさんの中からさらに松葉屋の目で選び抜いたものだけを常設しています。
松葉屋では今までに何万枚もギャッベを見てきています。
すると見た瞬間に、大きく2つにわかれます。
絵のようなギャッベと、そうでないギャッベに。
絵のようなものは、感性のとびぬけた織り子さんが、織りたくて織りあげた一枚で、私の心をつかんではなさなくなる芸術品の域のもの。
そういうものは何百枚みても、その中に数枚あるかないかです。
そうして出会ったギャッベたちは、やはり日本中どこをさがしても、みつかるものではありません。
ギャッベが大好きでいろんなところを見ている人が、松葉屋のギャッベにみて、ふれて、その美しさや手ざわりのよさに、ため息をつかれるのは自然なことかもしれません。
テーブルを探しているうちに、松葉屋さんでギャッベを見るようになって。
ここのギャッベは奥行きのある色合いが他のところとは違うと感じました。
購入するまでに何度か通わせていただいて、真剣に迷って購入しました。
一度敷いてしまうと、もう取るなんてことは考えられないです。
以前はくつろぐ場所が特になくて、ごろごろすることもなかったんですが、ギャッベが来てからはここでくつろいでいます。
こどもたちも何をするわけでもなくギャッベの上にいますね。
子どもたちはギャッベの上におもちゃを広げて遊んだり、お昼寝をしたり、夜も寝転んで絵本を一緒に読んでそのまま眠ってしまうこともあります。
夫は大好きなギターで歌を歌い、私は新聞を読んだり小さないすを机代わりにして書きものをすることも。
今まで他の場所でしていたことを、自然とみんな申し合わせたようにギャッベの上でし始めました。ほとんど、ギャッベの上で生活している私たち家族です。
ギャッベを迎えてからは、冬あったかくて夏も気持ちいい!
今まではアクリルのじゅうたんを買っていて、やっぱり汚れて劣化してしまうので引っ越しの度に捨てていました。ほとんど消耗品でした。
でもギャッベは子どもたちの世代まで、使い続けることができる。「古び」を楽しむことができる。
本当の意味で、エコですね。お金では計れないものだと思います。
羊の毛っていうと、最初は固いのかなというイメージでした。チクチクするのかなって。
でも初めて実際に触れたとき、靴を脱いで乗らせてもらった時の感触!さらさらしていて納得でした。
使ってみると、ずっとここに居たくなっちゃう。
リラックスできて、仕事がちょっとつらくてもギャッベに横になると元気になれる。
あたりまえだけど、今はとにかく「気持ちいい」かな。
「お子さんひとりずつに持たせてあげたらいいですよ」って言われて、そうしたいって思っています。
善五郎さん、次のギャッベ買い付けの時に織り子さんに伝えてください。
「遙か遠くの日本で、こんなに喜んでいる家族がいる」って。
ギャッベのふるさとは、南ザーグロス山の一帯。
夏は山の山腹にテントをはって羊に草を食ませ、冬は山をおりて暖かい土地に暮らします。
そんな生活の中でギャッベはつくられます。
大自然の中で羊を育てることから始まり、毛を刈り、すき、紡ぎ、よることで毛糸になります。
刈った原毛を手か櫛のような手すき道具ですき、紡績をつかって手で紡ぎます。
紡績車とよばれる道具は、先が細くなった木製か鉄製の棒と弾み車という、2対の翼のようなもの。
これを回転させながら、地面につくまでの間に羊毛をねじり、引きのばすと糸になります。
紡いだ糸は、よることで強くなります。
一人の女性が紡ぐ量は、1日に150gくらいです。
毛糸は山で自生する植物から、いろいろな色に染められます。
昔はそれぞれの遊牧テントで染めていましたが、需要が増え、安定した品質のギャッベを供給するために、今では染め工場でまとめて染めています。
各家庭からあつめられた毛糸は、工場で選別され、等級ごとに保管されます。
そして48時間、大釜で染めます。
何世代も受け継がれてきた職人の経験と勘が、ギャッベの宝石のように美しい、透明感ある色の決め手です。
織り機は、直立した堅機ではなく、地面にセットされる水平機で地機とよばれます。
先に張る経糸は、昔からウールが使われます。
普通じゅうたんの経糸には太綿糸や絹糸が使われますが、ギャッベは昔からウール。
この経糸のはじめとおわりに緯糸が通され、平織りのキリムを織ります。間にはじゅうたんのパイル織り。
1本の色糸を絡ませ、ナイフで切り、毛羽立たせ、ひとつの結びをつくります。
1枚を織るのに、何カ月も1年も、かかります。
織りあがると、センターにあつめられ、検品し、洗いと仕あげがされます。
まず採寸し、瑕疵がないかチェックされ、品質基準でないものは、はねます。
次に洗浄。
長い織りの間についたホコリやゴミを、大きな機械ではたきます。
そしてガスの炎で裏側との余分な繊維を焼きとり、硬いブラシで焼けこげなどをとりのぞきます。
傾斜のある床にしき、洗剤を使わず、石けんだけで洗います。
最後に、パイルが一定の厚みになるように、刈り込みます。
必要に応じて補修や房のトリミングなど、細かな作業をしてできあがり。
ようやく出荷です。
本社がイランにある、じゅうたん・キリムを専門にあつかう会社です。
ギャッベが世界中に知られたのが1970年代。
その後、欧米にギャッベの一大ブームを起こしたのがゾランヴァリ社です。
ヨーロッパでギャッベといえば、「ゾランヴァリ」。
はじめにもふれましたが、品質も仕立てもデザイン性も、織り子さんとのかかわり方も全て、上質でこの上ないことを、ヨーロッパの人たちはよく知っているのです。
今日本にたくさんのギャッベが入荷される中で、ゾランヴァリ社のものは全体のわずか8%程。
なぜならゾランヴァリのギャッベを日本にもってこられる人は、わずか2、3人なのだそう。
その1人が友人の今井正人さん。年に2度、直接イランに買付けに行っています。
私たちはその中から、より松葉屋らしいセレクトをしているので、(表情のある色だったり、ストーリーのある風景だったり、洗練されたデザインだったり・・・)おそらく日本中をさがしても、どこにもないギャッベばかりが、松葉屋にあつまっていると思います。