地産地消の家具製作ってどういうこと?

こんにちは

100年間の店主、滝澤善五郎です。

 

ご存知ですか?

日本の森林率は2015年の段階で68.5%。

さらに

79%以上に及ぶ長野県の森林面積は、全国でも有数の森林県です。

森に覆われたイメージのフィンランドですら全土で73%と言いますから

森の多さは誇ってもいいと思います。

 

でも、残念ながらその森林が産出する木材を充分活用することが

できずにいます。

 

長野県の 森林・林業の現状と課題

https://www.pref.nagano.lg.jp/zeimu/kurashi/

kenze/aramashi/aramashi/documents/h29-04sankousiryou1.pdf

 

家具の世界においては、ほとんどが輸入材。

それは

良質な広葉樹が近隣の山にないんだな、と思ってしまいますが

先ほどの長野県の 森林・林業の現状を読む通り

決してそういう事はなく、直径1mもの大径木は無いにしても、

樹齢80年から100年程度の美しい広葉樹は実は豊富にあるのです。

 

栗、栓、橅、黄檗、山桜、栃、樺、水目桜、などなど

 

それを使わないのは、家具製作に効率が悪いとか

それによって単価があわないとか、

理由はいくらでもあるのかもしれません。

 

「なぜ使わないんだろう?」

湧いて来た素朴な疑問。

 

松葉屋では数年前から地域の材料を使った家具製作の準備を進めて来ました。

いわば農作物でいうところの、

 

地産地消の家具製作となります。

 

かつて当たり前だった

「近くの山で伐採された広葉樹を」

「見える形で製材・乾燥」

「自分たちの手で家具製作」 です。

 

木材が

製材・乾燥を経て家具製作が可能になるまで、

じつに2年以上の時間が必要でした。

 

今回見ていただく

「松葉屋のつくるもの−新作家具展」では、その過程ではありますが

地産地消の家具製作を見ていただきたいと思います。

 

「原木を選ぶ」

 

 

松葉屋の家具製作は原木の買い付けから始まります。

身近な山で伐採された材木で家具製作をする。

そう決めた私たちは信濃町に、大町に、様々な山を見てきました。

そして今回買付けしたのが北信木材センターです。

ここで何本かの美しい原木を選ぶことができました。

それは長野市からすぐそばの信濃町でとれた木。

身近な森林でとれた木、

身近な人たちの手が加わった木。

私たちはこの木を使った家具作りを始めることにしました。

 

「製材と乾燥」

少しの無駄が出ないように、慎重に製材の角度を決めていきます。

 

 

一枚板をはじめ、無垢の木材は「乾燥が命」。

今回原木を持ち込んだカネモクさんは1954年の創業以来

広葉樹の製材と乾燥を一貫して自社工場で行っている

木材の乾燥専門会社です。

松葉屋では一枚板のテーブルをはじめ、様々な樹種の製材と乾燥を

お願いしています。

 

昔の家は隙間風が入り、断熱も施されていない住宅でしたが、

今の住宅は断熱が施された高気密な状態。

その上、冷暖房でかなり乾燥した室内になっています。

そんな環境下でも影響を受けない、現代の住宅に合った乾燥を

しなければなりません。

そのため、木の水分量(含水率)を測りながら、また樹種による

木のクセなどの違いを見極めた人工乾燥が必要不可欠です。

まず、自然乾燥で含水率を 

23%~ 25%くらいまで下げた材を蒸気乾燥室に入れます。

一旦、蒸気乾燥で7%くらいまで下げたあと、加湿して全体を均一な

10%±2%にしていきます。

 

「蒸気で乾燥させるとは?」

乾燥させるのに、なぜ蒸気・水分が必要なのか?不思議ですよね。

乾燥させるときに水分を飛ばそうと表面ばかり乾かしてしまうと

中の水分は抜けにく なってしまいます。

最初は蒸気で全体をひたひたに覆い、木の中の水分を

ゆっくり少しずつ引き出していく。

蒸気で蒸された木材は繊維が柔らかくなり、

全体が同じ水分量になる状態だと、

木の中の水分をきちんと引き出すことが

できるんです。

製材から天然乾燥、人工乾燥を経て1年半から数年、

ようやく原木が家具製作に進める時期になりました。

 

「乾燥材を工房に運びこみ、製作する」

ここから、松葉屋のオーダー家具などを製作してくれている、

松葉屋のパートナー工房へ持ち込み、製作にかかります。

 

木を伐り、製材し、乾燥する。

ようやく家具づくりの道半ば。

いよいよ家具の製作にかかります。

松葉屋の信頼の置けるパートナー工房さんに乾燥材を持ち込みます。

メール添付してポチッというわけにはいかないから

木材の運搬もなかなか大変です。

オーダー家具製作

そしてようやく

「お届けする」

ことができるようになりました。

 

お客さまの手に渡って、ようやく僕たちが作った家具の役割が

始まります。

自分たちの手で、あるいは熟練した家具専門の運送業者さんに委ねて。

家具納品

 

重いから、慎重に。

そして、何十年か使われた家具たちは

いずれ少し緩んだり、布が擦れたり、

使う方の用途が変わってきたり

 

だから

「直し、繕い、使う」

 

たとえば

桐ダンスの削り直し。

 

 

お嫁入りの道具として使っていた桐ダンス。

塗り直して新しいもののように生まれ変わりました。

息子さんのご結婚のお祝いに、引き継がれていきます。

 

椅子が緩んだりしても締め直しすれば

すっかり生まれ変わります。

 

 

 

家具の一生を見ていただいて、いかがでしょうか。

 

 

合わせて今回

「鹿の革で家具を作りました。」

 

「獣害」で長野県内で年間 4万頭捕獲される鹿。

 

 

今ようやくジビエ料理に鹿肉を活用されはじめましたが、

食肉にされる際剥がされる皮の活用はほとんどされていません。

 

実は日本でかつて多用されたのは鹿革。

馬の脳髄から取り出した「脳漿(のうしょう)」で革をなめしていた

歴史があります。

現代では、牛革に比べてあまりなじみはありませんが、

最も古くから親しまれてきた鹿革は、奈良時代の刀剣の鞘や

日本最古の足袋などに多数の鹿革製品を見ることができます。

また、飛鳥時代から江戸時代にいたるまで、

武具にしばしば鹿革を使った部品が発見されています。

日本において牛革を使うようになるのは比較的後のことなのです。

「革」といえば鹿革という時代の方が長かったようです。

 

布のようにしなやかな質感のため、

今でも洋服や手袋などに使われることが多く

布よりも丈夫で、椅子の張り地にも適しています。

 

松葉屋では、利用されなかった皮を

植物性タンニンなめし、

無着色で鹿革として活用する流れをつくりました。

 

鹿革本来が持つ、

淡く優しいピンク色が使い込むほどに艶が増す味わいは、

その変化の様も楽しむことができます。

今回、鹿革の小椅子・スツールに加え、鹿革クッションと

栗材で作ったソファーを出品いたします。

 

 

お楽しみに!

 

「松葉屋のつくるものー新作家具展」

   9月15日(土)〜 24日(月・振替休日)まで

 

店主/滝澤善五郎
書いた人店主/滝澤善五郎

愛着もてるものを
手入れしたり、メンテナンスしたり、修理したり
そうやって永く、永くつき合っていく。
「繕い、直し、使いつづける」
ボロッちくて、朽ち果てたものが大好きです。
ぜひ一度、私 善五郎に会いにお出掛け下さい!

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